茶業研究報告
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窒素施肥量および蒸熱条件の異なる蒸製玉緑茶の浸出液成分の解析
宮田 裕次寺井 清宗
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2004 年 2004 巻 97 号 p. 1-8

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抄録

窒素施肥量と茶葉の蒸熱条件を変えて製造した荒茶を60℃,90℃蒸留水で1煎目,2煎目,3煎目と浸出させ,その浸出率を解析し,窒素施肥量や蒸熱条件と浸出液成分との関係を明らかにした。
窒素施肥量,浸出液温度,蒸し度と関係なく,荒茶中からの遊離アミノ酸の浸出率は1煎目が,タンニンの浸出率は2煎目が最も高かった。
遊離アミノ酸,タンニンの合計浸出率は,浸出液温度60℃より90℃が高いが,窒素施肥量が少ない生葉を,強蒸で製造すると遊離アミノ酸の合計浸出率は浸出液60℃と90℃ではあまり変わらなかった。普通蒸に比べ,強蒸は遊離アミノ酸,タンニンの合計浸出率が高くなった。しかし,浸出液90℃での遊離アミノ酸の合計浸出率は,窒素施肥量,生葉形質に関わらず蒸熱条件の影響をあまり受けなかった。また,浸出液90℃でのタンニンの合計浸出率は,窒素施肥量が少ないN15kg区の生葉では,蒸熱条件の影響をあまり受けなかった。
窒素施肥量による浸出率の影響は,遊離アミノ酸では浸出液60℃と浸出液90℃の普通蒸,タンニンでは浸出液90℃の普通蒸で見られ,これらは窒素施肥量が減少するに伴い浸出しやすい傾向にあった。

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