茶業研究報告
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茶園表層葉の光合成活性の周年変化
岡野 邦夫松尾 喜義
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2004 年 2004 巻 98 号 p. 1-9

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抄録

群落光合成の主体を担う茶園表層葉の光合成活性の周年変化を知るために,一番~四番茶葉の生育にともなう光合成活性の変化を酸素電極法で測定した。また,成熟葉の早期老化を引き起こす原因についても検討した。
新葉の光合成活性が最大値に達するまでには開葉後約45日を要した。一番~四番茶葉ともに,新葉の光合成活性は次茶期芽の萌芽期まで上昇を続け,以後,活性は急速に低下し落葉した。その結果,株表層葉は2ヶ月弱の周期で一番~四番茶葉に順次更新された。越冬葉の光合成活性は比較的高かったが,一,二番茶葉の活性はそれ以下であった。一方,秋期の三,四番茶葉の光合成活性は年間で最も高い値を示した。チャ葉の早期老化の主因は新芽伸長による光環境の悪化ではなく,次茶期新芽への葉内窒素化合物の流出にあると考えられた。

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