茶業研究報告
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黒ボク茶園における有機物資材の窒素無機化特性
内村 浩二三浦 伸之
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2004 年 2004 巻 98 号 p. 11-19

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抄録

黒ボク茶園における有機物資材の窒素無機化特性を反応速度論的に解析し,以下の結果を得ることができた。
1) 黒ボク茶園における有機物資材の窒素無機化曲線は単純型モデルによく適合し,窒素無機化特性値(可分解性窒素量,窒素無機化速度定数,活性化エネルギー)を求めることができた。
2) 黒ボク茶園における菜種油粕,大豆粕,肉骨粉,魚粉の可分解性窒素量は全窒素含有率の59~89%で,可分解性窒素量の90%が8~12日で無機化し,一般畑土壌よりも無機化速度は速かった。
3) 供試した家畜ふん堆肥の可分解性窒素量は全窒素含有率の7~39%で,無機化速度は一般畑土壌に比べて牛ふん堆肥では速く,豚ぷん堆肥,鶏ふん堆肥では遅かった。
4) 無機化速度の温度に対する依存性を示す温度係数は有機質肥料により異なり,肉骨粉>菜種油粕>魚粉>大豆粕の順であった。また,肉骨粉,菜種油粕の12月~2月における積算無機化率は,夏季の半分程度であった。
5) 窒素無機化特性値から各有機物資材の時期別窒素無機化率を算出し,無機態窒素の発現時期と量から,施肥効率を高めることができる施肥時期を推定することができた。
6) この方法から,施肥効率を高める有機物資材の種類,施肥時期の提案が可能となった。この結果を鹿児島県で一番茶に対し,菜種油粕を春肥として施用する場合に当てはめると,施肥時期は1~2月が適切で,3月以降では遅いと考えられた。

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