茶業研究報告
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抵抗性品種におけるクワシロカイガラムシの摂食行動の解析
水田 隆史長友 博文服部 誠
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2004 年 2004 巻 98 号 p. 21-32

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抄録

抵抗性品種におけるクワシロカイガラムシに対する抗生作用の発現機構を明らかにするため,抵抗性品種と感受性品種における本種の摂食行動を,口針切断法および電気的測定法(EMS:Electronic Measuring System)により調査した。雌成虫の口針切断部位からは,樹液が滲出し,滲出樹液はpH7.8以上の水素イオン濃度を示したことから,クワシロカイガラムシは篩管液摂食者であり,滲出樹液は篩管液と考えられた。口針切断部位から樹液が滲出する個体の割合は,抵抗性品種の'はつもみじ'と'さやまかおり'でそれぞれ44.2%と53.3%であったのに対し,感受性品種の'たかちほ'では82.2%と有意に高かった。
EMSによる本種の摂食波形は,形状により9種類に類別化できた。このうち,BおよびC,D,E波形の4時間あたりの総出現時間は,他の波形のそれに比べて長かった。B波形の総出現時間は'はつもみじ'(抵抗性品種)で,CおよびE波形の総出現時間は'たかちほ'(感受性品種)で有意に短く,D波形に有意差は認められなかった。体背面からのロウ分泌は,'はつもみじ'に寄生させた雌ではほぼ全個体で観察されなかったのに対し,'たかちぼ'ではほぼ全ての雌で観察された。

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