抄録
新しい注射用cephalosporin系抗生剤であるCeftazidime (CAZ, SN401) について基礎的・臨床的検討を行なった。
各種臨床分離株に対する本剤の抗菌力を測定し, Cefotiam (CTM), Cefmetazole (CMZ) のそれと比較した。S. aureusrc対してはCTM, CMZに劣る結果であったが, E, coli, K. pneumoniae, P. mirabilis, Indole positivo Protms, S. marcescensに対しては, いずれも0.05~0.18μg/mlにMICのピークを認めCTM, CMZより数段階優れた成績を示した。H. influenzaeに対する抗菌力はβ-lactamase産生株も含めて全株0.39μg/ml以下で発育を阻止した。P. aeruginoaa, P. cepacia, Acixetobacterなどブドウ糖非発酵菌についても, 本剤のMICのピークは各々6.25, 1.56. 3.13μg/mlであり, 優れた抗菌活性を認めた。
本剤1.0g1時間かけて点滴静注後の最高血中濃度は平均68μg/mlであり8時間後までの尿中排泄率は平均91.2%であった。
臨床観察例は呼吸器感染症31例, 尿路感染症1例を対象に1日1~3g, 2~37日間使用した結果, 効果判定可能の28例中, 著効4, 有効16, やや有効4, 無効4例であった。1例で軽度の発疹を認めた以外, 副作用や検査値の異常は認められず, 有用性の高い薬剤であると考えられた。