抄録
新ペニシリン系注射用抗生物質TA-058に関する基礎および臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
(1) 抗菌力グラム陰性桿菌8菌種に対する抗菌力 (MIC分布) はCBPCに類似し, PIPCには1~2管劣った。E.coli, K.pneumonsaeに対してはCBPCにやや優ったがProteus indole陰性ではやや劣った。
(2) 体内動態1g点滴静注時の血中および尿中濃度を1時間点滴と2時問点滴とで比較すると, 前者では最高血中濃度607μg/ml, 最高尿中濃度2,8096μg/ml, 24時間尿中回収率761%で, 後者ではそれぞれ315μg/ml, 3,7091μg/ml, 77%であった。
(3) 臨床成績薬効検討例は急性単純性膀胱炎10例, 慢性複雑性尿路感染症45例であり, 前者で100%, 後者で38%の有効率を得た。起炎菌の消失率は前者で90%, 後者で63%であった。副作用 (検討症例65例) は1例でshock症状をみたが, 補液を施し速やかに回復した。臨床検査値 (検討症例57例) 上, 本剤によると考えられる肝機能異常を2例に認めた。