CHEMOTHERAPY
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AT-2266の生殖試験 (第3報)
ラットにおける胎仔の器官形成期投与試験
寺田 芳規西村 耕一小紫 正一鶴田 耕右井村 義明吉岡 真智子吉田 耕一
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1984 年 32 巻 Supplement3 号 p. 301-315

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抄録
新規合成抗菌薬AT-2266の胎仔の器官形成期投与試験をJcl: SD系雌ラットを川いて行った。AT-2266の100, 300, 1,000mg/kgを妊娠7日から17日まで強制経口投与した。各群25匹の交尾成立雌ラットは, 妊娠21日に帝王切開して胎仔を取り出し, 外表, 内臓, 骨格異常について検査した。また, 1群あたり15匹の母体は自然分娩させ, 次世代動物の成長および機能発達について調べた。
母体においては, 1,000mg/kg群で継続的な軟便と妊娠中の体重増加抑制が認められた。帝王切開した母体では, 全投薬群で盲腸重量 (内容物を含む) の増加が認められ, 自然分娩させた母体においても300, 1,000mg/kg群でわずかに盲腸重量が増加した。母体の分娩, 哺育状態には何ら異常な所見はなかった。
胎仔の検査では, 1,000mg/kg群で胎仔体重の減少, 14肋骨の発生数減少, および化骨の遅延が認められた。しかし, 自然分娩によって生まれた次世代動物では, 生存率, 成長, 分化状態, 行動発達, 自発運動量, 学習能力, 生殖能力, 剖検所見のいずれにおいても投薬の影響は認められなかった。
以上, AT-2266の本試験における最大無作用量は300mg/kgと考える。
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© 社団法人日本化学療法学会
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