CHEMOTHERAPY
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ラット肺炎球菌性髄膜炎モデルにおけるaspoxicillinの化学構造と髄液中移行
奥野 哲春日 修谷 佳都芝田 和夫石井 信男佐久間 由光山口 東太郎
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1989 年 37 巻 7 号 p. 877-881

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抄録

Aspoxicillin (ASPC) の構造と髄液中移行との関係を明らかにするため, ラット肺炎球菌性髄膜炎モデルを用いて, ASPCの構造上の特徴であるフェニル基に導入された水酸基およびアミノ酸側鎖であるN4-メチル-D-アスパラギニル基に着目して, ASPC, dehydroxyaspoxicillin (AB-ASPC), amoxicillin (AMPC), ampicillin (ABPC), mezlocillin (MZPC) およびpiperacillin (PIPC) の6剤の髄液中移行を検討した。
感染24時間後に各ペニシリン剤を静脈内投与した結果, N4-メチル-D-アスパラギニル側鎖を有するASPCとAB-ASPCが最も高い髄液中濃度および大きい髄液中濃度曲線下面積 (AUC) を示し, 曲線下面積 (AUC) 髄液血清比百分率も他剤よりも優れていた。
ASPCの感染髄液への移行が他剤よりも優れている理由として, N4-メチル-D-アスパラギニル基が移行を増大させ, さらに, フェール基に導入された水酸基が髄液中の薬剤濃度を持続させていると考えられた。

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