CHEMOTHERAPY
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尿路感染症におけるsparfloxacinの基礎的・臨床的検討
川原 元司川原 和也後藤 俊弘牧之瀬 信一水間 良裕小濱 康彦山内 大司坂本 日朗大井 好忠
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キーワード: 尿路感染症, MIC, 臨床的検討
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1991 年 39 巻 Supplement4 号 p. 545-554

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抄録
尿路感染症患者尿由来の臨床分離株10菌種計300株に対するsparfloxacin (SPFX) の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ofloxacin (OFLX), ceftazidime (CAZ), cefoperazone (CPZ) の抗菌力と比較検討した。Sraphlylococcus sp., Enterococcus faecalisに対しては他剤より優れた抗菌力を示し, MIC90は各0.78, 12.5μg/mlであった。検討したグラム陰性桿菌群に対しても強い抗菌活性を認め, 対照としたOFLXと同等以上の抗菌力を示したが, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaに対してはCAZに劣り, MIC50はそれぞれ12.5, 50μg/mlであった。
急性単純性膀胱炎4例, 複雑性尿路感染症19例.細菌性前立腺炎4例および急性副睾丸炎1例の計28例に本剤を投与して有用性を検討した。急性単純性膀胱炎に対しては1回50mgを1日1~3回, 複雑性尿路感染症および副性器感染症に対しては1回200あるいは300mgを1日単回投与した。UTI薬効評価基準に従って判定し得た有効率と総合臨床効果は急性単純性膀胱炎100%(著効4例), 複雑性尿路感染症68.8%(著効8例, 有効3例, 無効5例), 細菌性前立腺炎100%(著効2例) であった。急性副睾丸炎の1例は本剤投与前に尿道から分離されていたChlamydia trachomatisが5日目には陰性化し, 12日目の主治医判定は有効であった。自他覚的副作用として1例で胃部不快感が認められたが投与継続可能であった。本剤投与前後における臨床検査は16例で施行され, 本剤投与との関係が否定できない白血球数減少が1例に認められた。
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© 社団法人日本化学療法学会
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