CHEMOTHERAPY
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細菌性肺炎に対するLevofloxacinとOfloxacinの二重盲検比較試験
副島 林造他
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1992 年 40 巻 Supplement3 号 p. 121-146

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抄録

ニューキノロン系抗菌剤levofloxacin (LVFX, DR-3355) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的でofloxacin (OFLX) を対照薬とする二重盲検比較試験を全国35施設の共同研究により実施した。用法用量は, LVFXは1日300mg分3 (LVFX群), OFLXは1日600mg分3 (OFLX群) とし, 原則として14日間経口投与した。
1) 総投与症例数159例 (LVFX群77例, OFLX群82例) 中, 小委員会による評価対象症例は, 臨床効果: 140例 (LVFX群68例, OFLX群72例), 副作用: 158例 (LVFX群76例, OFLX群82例), 臨床検査値異常: 150例 (LVFX群71例, OFLX群79例), 有用性: 141例 (LVFX群65例, OFLX群76例) であった。これらの症例の背景因子に関し, 両群間に有意な偏りを認めなかった。
2) 小委員会判定による臨床効果はLVFX群85.3%(58/68), OFLX群93.1%(67/72), また主治医判定ではそれぞれ85.3%(58/68) と91.7%(66/72) の有効率であり, いずれにおいても両群の臨床効果に有意差は認められなかった。
3) 細菌学的効果はLVFX群100%(21/21), OFLX群100%(33/33) の陰性化率であり, 両群の細菌学的効果に有意差は認められなかった。
4) 副作用はLVFX群3.9%(3/76), OFLX群14.6%(12/82) に認められ, LVFX群の副作用発現率はOFLX群よりも有意に低かった (X2: P=0.029)。臨床検査値異常発現率はLVFX群15.5%(11/71), OFLX群13.9%(11/79) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
5) 小委員会判定による有用性はLVFX群86.2%(56/65), OFLX群87.8%(65/74) の有用率, また主治医判定ではそれぞれ87.7%(57/65), 88.2%(67/76) の有用率であり, いずれにおいても両群の有用性に有意差は認められなかった。
以上の成績より, LVFX1日300mg分3投与は, OFLX1日600mg分3投与と同様に細菌性肺炎に対して有用な治療法であることが確認された。

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