CHEMOTHERAPY
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腎機能障害患者におけるLevofloxacinの体内動態の検討
斉藤 昭弘小口 健一原田 吉将篠田 育男米田 尚生岡野 学伊藤 康久藤広 茂兼松 稔坂 義人河田 幸道蟹本 雄右岡田 謙一郎西古 靖斎藤 功
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1992 年 40 巻 Supplement3 号 p. 188-195

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抄録

腎機能障害患者 (I群: 40≦Ccr<70, II群: 20≦Ccr<40およびIII群: Ccr<20) における, ニューキノロン剤levofloxacin (LVFX, DR-3355) の体内動態を検討し, 以下の結果を得た。
1) LVFX 100mg単回投与後の平均最高血中濃度はI群では投与2時間後で1.463μg/ml, II群では投与2時間後で1.552μg/ml, III群では投与4時間後で1.386μg/mlであった. 24時間後には, I群では0.293μg/ml, II群では0.474μg/ml, III群では0.781μg/mlであり, 腎機能障害の程度に相応して高値を示した。
2) 48時間までの尿中回収率はI群では66.62%, II群55.70%, III群21.99%であり腎機能障害の程度が強いほど尿中排泄率は低値であった。
3) 全23例においてLVFX 100mg単回投与後における自他覚的副作用は認めなかった。
4) 100mg単回投与時の血中濃度より得られた薬動力学的パラメーターを用い, 投与を反復する場合の血中濃度をone-compartmentmodelでシミュレーションし, 定常状態における最高血中濃度およびパターンから判断すると, 健常者の常用量を1日300mg3分割投与とした場合, Ccrが40以上70ml/min未満では1回100mgを1日2回投与, 20以上40ml/min未満では1日1回投与, また20ml/min未満では100mgを48時間以上の間隔で投与すべきと思われた。

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