CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対するlevofloxacinの臨床用量の検討
河田 幸道熊本 悦明阿曾 佳郎町田 豊平斎藤 功名出 頼男岡田 謙一郎守殿 貞夫大森 弘之熊澤 淨一大井 好忠上野 一恵小川 暢也
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1992 年 40 巻 Supplement3 号 p. 210-229

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抄録

Ofloxacin (OFLX) の光学活性l体であるlevofloxacin (LVFX) の複雑性尿路感染症に対する臨床用量を検討する目的で, OFLXを対照薬とした用量検討試験を行った。
対象は尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症で, 外来症例, カテーテル非留置症例であることを条件とし, LVFXの100mg 1日2回 (LV-200), 100mg 1日3回 (LV-300), 200mg 1日2回 (LV-400) を, OFLXの200mg1日3回 (OF-600) を対照として, 5日間投薬後の臨床効果をUTI薬効評価基準に従って比較した。
総投与症例201例中, LV-200群の39例, LV-300群の39例, LV-400群の41例, OF-600群の43例を有効性の評価対象としたが, これらの症例の背景因子は, MIC分布に偏りが認められた以外, 有意差は認められなかった。
総合有効率はLV-200群で87.2%, LV-300群で84.6%, LV-400群で80.5%, OF-600群で93.0%, 細菌消失率はそれぞれ95.7%, 91.9%, 90.8%, 93.4%といずれも4群間に有意差を認めなかった。LVFX投与3群におけるMICの偏りを補正した場合の有効率はLV-200群で83.7%, LV-300群で86-5%, LV-400群で77.7%, 細菌消失率はそれぞれ90.2%, 95.3%, 88.9%となり, いずれもLV-300群において最も高かった。副作用の発現率はLV-200群で2.0%, OF-600群で5.8%, LV-300群とLV-400群では0%であり, 4群間に有意差を認めず, また臨床検査の異常値発現頻度にも有意差を認めなかった。これらの成績から, 複雑性尿路感染症に対するLVFXの臨床用量は, 1日300mgが適当と考えられた。

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