CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
合成化学療法剤Levofloxacinのin vitroおよびin vivo抗菌力
西野 武志田中 真由美青野 優子岩井 隆也大槻 雅子
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 40 巻 Supplement3 号 p. 36-50

詳細
抄録

合成化学療法剤levofloxacin (LVFX [S-(-)-ofloxacin], DR-3355) のin vitroおよびin vivo抗菌力について, ofioxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) およびDR-3354 [R-(+)-OFLX] を比較薬として検討し, 以下の成績を得た。
1. LVFXは, グラみ陽性菌群, グラム陰性菌群に対し広範囲な抗菌スペクトルを有しており, その抗菌力はOFLXのほぼ2倍良好であった。
2. 臨床分離株に対する感受性分布では, グラム陽性菌およびAcinetobacter属に対して, LVFXは最も優れた抗菌力を示した。グラム陰性菌においては, Citrobacter freundiiに対してCPFXとほぼ同等の抗菌力を示したが, 他の菌種に対してはCPFXよりやや劣り, OFLXおよびDR-3354より優れていた。
3. LVFXの抗菌力に及ぼす諸因子の影響では, Staphylococmsmeus, Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaともに, 培地, ヒト血清添加および接種菌量の影響はみられず, 培地pHがアルカリ性側の時に抗菌力が良好となった。
4. S. aureus, E. coli, K. pneumoniae, P. aeruginosaを用いて増殖曲線に及ぼす影響を検討したところ, 濃度に対応した作用がみられ, すべて殺菌的に作用した。
5. Bacmmsubtilis, E. coli, P. aeruginosaにLVFXを作用させた時の形態変化を観察した。B. subtilisおよびE. coliでは菌体の伸長化が認められたが, その度合いはB. subtilisで著しかった。また, B. subtilisでは溶菌像が, P. aeruginosaではスフェロプラスト, 菌体内密度の偏った細胞および溶菌像が観察された。
6. マウス実験的感染症に対する治療効果をS. aureus, E. coli, K. pneumoniae, Serratia marcescens, P. aeruginosaおよびAcinetobacter calcoaceticusを用いて検討したところ, LVFXが最も優れた治療効果を示した。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top