CHEMOTHERAPY
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薬剤アレルギーに関する基礎的研究 (続報)
βラクタム系抗生物質の血小板機能に対する影響
本間 義春川角 浩横室 公三竹内 良夫
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1994 年 42 巻 12 号 p. 1335-1341

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抄録

モルモットのアナフィラキシー誘発実験において, cefaclor (CCL)-HSAまたはcephalexin (CEX)-HSAを抗原とした場合にショック死したにもかかわらず血中ヒスタミン値は変動しなかった。この現象を解析するため, モルモットの血中ヒスタミンのmajor sourceである血小板に着目し, 血小板活性化因子 (PAF) の作用に対する薬剤の影響を検討し以下の結論が得られた。1.5×10-7MのPAF刺激で起こる血小板凝集作用に対して薬剤濃度1mM, 10mM共に影響を与えなかったが, PAF刺激による血小板からのヒスタミン放出作用に対してはamynobenzyl基を側鎖にもつβラクタム系抗生物質は共通して有意な抑制傾向が認められた。以上の結果から, アナフィラキシーショック時の血中ヒスタミン値の無変化の原因の1つとして, CCL, CEXが血小板からのヒスタミン放出を抑制している可能性が示唆された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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