CHEMOTHERAPY
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Tazobactam/Piperacillinの基礎的ならびに臨床的検討
山本 善裕他
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1994 年 42 巻 Supplement2 号 p. 443-451

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抄録

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) についての基礎的ならびに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
1. 抗菌力: 臨床分離株16菌種515株に対するTAZ/PIPCの最小発育阻止濃度を測定し, 他の薬剤 piperacillin, clavulanic acid/ticarcillin, sulbactam/cefoperazoneと比較検討した。その結果本剤は, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対し良好な抗菌作用を認めた。
2. 体液内濃度: 気管支拡張症患者1例において, 本剤1.25g (0.25/1.0) を点滴静注したときの血中および喀疾中濃度を測定した。本剤点滴静注後のtazobactam (TAZ) 血中濃度は5.31μg/ml, PIPC血中濃度は28.6μg/ml, 4時間後にはTAZは検出感度以下 (<0.39μg/ml), PIPC濃度は2.3μg/mlであった。また最高喀疾中濃度は3~4時間後にTAZは0, 34μg/ml, PIPCは0.24μg/mlに達し, 本剤の速やかな喀疾内移行性が示唆された。
3. 臨床的検討: 呼吸器および尿路感染症患者23例に本剤を投与し, 臨床効果および副作用について検討した。総合臨床効果は, 23例中有効例19例, 無効1例, 判定不能3例で有効率は95%であった。副作用は, 嘔気, 口内炎が各1例に認められたほか, 臨床検査値異常として, GOTの上昇および好酸球増多が各1例に認められた。いずれも軽度であり, 本剤投与終了後速やかに改善し, 本剤の安全性が確認された。

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