日本化学療法学会雑誌
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細菌性肺炎に対するbiapenemとimipenem/cilastatinの臨床的有用性に関する比較試験
松本 文夫他
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1995 年 43 巻 1 号 p. 41-62

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抄録

新しいカルバペネム系注射用抗菌薬biapenem (BIPM) の細菌性肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を検討するため, imipenem/cilastatin (IPMICS) を対照薬として, 比較試験を実施した。投与量はBIPMは1回300mg (力価) を1日2回, IPM/CSは1回500mg (力価)/500mgを1日2回いずれも点滴静注にて原則として14日間投与し, 以下の成績を得た。
1. 総投与症例183例中, 臨床効果判定可能な症例146例の有効率は, BIPM群94, 8%(73/77), IPMのCS群92.8%(64/69) であった。
2. 細菌学的効果 (菌消失率) は, BIPM群90.9%(20/22), IPM/CS群93.1%(27/29) であった。
3. 副作用の発現率は, BIPM群3.4%(3の89), IPMのCS群3.6%(3/83) であった。臨床検査値異常変動の発現率は, BIPM群29.5%(26の88), IPM/CS群25.6%(20の78) であった。
4. 有用性 (有用率) は, BIPM群94.8%(73の77), IPMのCS群88.6%(62/70) であった。
以上の検討項目のすべてにおいて, BIPMは300mg (力価) ×2の日の投与量で, IPMのCSの500mg (力価) の500mg×2/日と有意差がみられない成績が得られた。したがって, BIPMは細菌性肺炎に対して臨床的有用性の高い薬剤であることが示唆された。

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