日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
浅在性化膿性疾患に対するazithromycinとcefaclorの二重盲検比較試験成績
荒田 次郎他
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 43 巻 11 号 p. 1069-1087

詳細
抄録

新しい経口マクロライド系抗菌薬であるazithromycin (AZM) の浅在性化膿性疾患に対する有効性, 安全性, 有用性を検討するために, cefaclor (CCL) を対照薬として二重盲検比較試験を多施設共同で行った。AZMは500mg (力価) を1日1回3日間, CCLは250mg (力価) を1日3回7日間投与した。対象疾患は第IIa群痴, 痴腫症, 擁, 尋常性毛瘡, 急性化膿性爪囲炎), 第IIb群 (リンパ管炎, 丹毒, 蜂巣炎), 第III群 (感染性粉瘤, 化膿性汗腺炎, その他の皮下膿蕩) とした。
1.総症例221例中, 臨床効果の解析対象症例172例における有効率 (「著効」+「有効」の割合) はAZM群の90.6%(77例/85例), CCL群80.5%(70例/87例) であった。両群間に有意差は認められなかったが、AZMのCCLに対する臨床的同等性は検証された (Δ=10%, P<0,001)。
2.疾患群別有効率は第IIa群でAZM群94, 4%(34例136例), CCL群89, 5%(34例138例), 第IIb群でAZM群100%(18例118例), CCL群84, 2%(16例119例), 第III群でAZM群80, 6%(25例131例), CCL群66.7%(20例130例) であった。いずれの疾患群においても両群間に有意差は認められなかった。
3.細菌学的効果における消失率 (「陰性化」+「菌交代」の割合) はAZM群87, 3%(48例155例)、CCL群82.4%(42例/51例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
4.副作用の発現率はAZM群10.6%(11例/104例), CCL群10.2%(11例1108例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
5.臨床検査値の異常変動の発現率はAZM群4.3%(4例/93例), CCL群3.1%(3例/96例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
6.概括安全度の解析対象症例198例における安全率 (「問題なし」の割合) はAZM群84.7%(83例/98例), CCL群86.0%(86例1100例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
7.有用性の解析対象例181例における有用率 (「きわめて有用」+「有用」の割合) はAZM群81.1%(73例190例), CCL群73.6%(67例/91例) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
以上, 浅在性化膿性疾患に対して, AZM 500mg1日1回3日間内服はCCL250mg 1日3回7日間内服と同様に有用性の高い薬剤であると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事
feedback
Top