日本化学療法学会雑誌
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呼吸器感染症におけるaztreonam, clindamycin併用療法の臨床的検討
山口 悦郎他
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1995 年 43 巻 2 号 p. 213-221

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抄録

呼吸器感染症に対するaztreonam (AZT) とclindamycin (CLDM) 併用療法の, 今日における有用性を検討するために, 北海道大学第1内科と関連17施設による共同試験を行った。投与量は原則として1日AZT2.0g+CLDM1.2gあるいはAZT4.Og+CLDM2.4gを1日2回に分け, 3~14日間点滴静注した。
1) 対象呼吸器感染症例は細菌性肺炎84例, マイコプラズマ肺炎18例, その他の呼吸認感染症17例の合計119例であった。このうち全例において副作用, 臨床検査値 (臨検値) 異常を検討し, 有効性, 有用性については除外例を除く114例であった。
2) 有効性は細菌性肺炎, マイコプラズマ肺炎それぞれの有効率 (著効+有効) が84.2%, 76.4%とほぼ同じであった。その他の呼吸器感染症の有効率は53.3%であった。対象症例全体の効果は, 著効20.2%(23/114), 有効58.8%(67/114) で, 有効率79.0%であった。
3) 副作用の発現は4.2%(5/119) にみられ, 発疹4例, 偽膜性大腸炎1例であった。臨検値異常は20.2%(24/114) に発生した。その内容は, 2例で好酸球増多, 22例において軽度ないし中等度の肝機能検査値異常 (GOT14件, GPT20件) が認められた。
4) 有用性は, 細菌性肺炎については有用度 (きわめて有用+有用) 76.8%, マイコプラズマ肺炎では64.7%, その他の呼吸器感染症では53.3%であった。全症例の有用度は71.9%であった。
以上より呼吸器感染症に対するAZT, CLDM併用療法は両剤が開発されてから長年月経過した今日でも, 有効な治療法であることが示された。

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