日本化学療法学会雑誌
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緑膿菌に対するisepamicinとimipenem/cilastatin併用時の投与順序に関する基礎的検討
松居 都美津田 良子上 洋司加瀬 公一郎山路 真也室伏 直美鳥屋 実
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キーワード: 併用効果, 投与順序, 緑膿菌
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1995 年 43 巻 6 号 p. 617-622

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抄録

アミノ配糖体薬であるisepamicin (ISP) とβ-ラクタム薬であるimipenem/cilastatin (IPM/CS) を用いて, 緑膿菌に対するin vitro併用効果および併用時の投与順序について検討し, 以下の成績を得た。
1.ISPおよびIPM/CSは, 緑膿菌ATCC27853および臨床分離菌株10株に対して, 単独で優れた抗菌力を示した。
2.Checkerboard dilution methodにより併用効果を検討した結果, 54%の菌株で相加/相乗効果が認められ, 拮抗作用は認められなかった。また, minimum FIC indexの平均値は, 0.897であった。
3.緑膿菌ATCC27853のin vitro増殖曲線におよぼす影響を検討した結果, それぞれ単独でやや減少傾向を示す薬剤濃度で併用した場合殺菌的に作用し, 優れた併用効果が認められたが, 投与順序による効果の差は認められなかった。
4.緑膿菌ATCC27853に対する再増殖抑制効果を血中濃度シミーレーションにより検討した結果, ISP先行投与>同時投与>IPM/CS先行投与の順に抑制効果が認められた。
5.緑膿菌ATCC27853のPAEを検討した結果, ISPおよびIPM/CSとも単独でPAEが認められ, 併用によりPAEは延長した。また, 併用時はISP先行投与>同時投与>IPM/CS先行投与の順に延長効果が認められた。
以上, in vitroの検討結果より, ISPとIPM/CSとの併用におけるISP先行投与の有用性が示唆され, 臨床的な効果も十分期待されるものと考えられる。

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