日本化学療法学会雑誌
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新しい抗菌薬感受性測定法: E Testの有用性について
第1報測定値の信頼性および臨床分離Staphylococcus aureusへの応用
内野 卯津樹村岡 宏江手塚 孝一小林 寅哲金子 明寛佐々木 次郎
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キーワード: ETest, 寒天平板希釈法, MIC, MRSA, MSSA
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1995 年 43 巻 6 号 p. 623-629

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抄録

17菌種の標準菌株に対する常用抗菌薬8種の最小発育阻止濃度 (MIC) をE Test (AB BIODISK Inc.) を用いて測定し, 日本化学療法学会標準法に準拠するagar dilution methodによって得られたMIC値と比較した。その結果, 各種標準菌株に対する8種の抗菌薬のMIC値はETestおよび寒天平板法ともよく一致し2菌種を除きすべて2倍以内であった。2倍の差が認められた多くはETestが高い値を示した。Staphylococcus aureus ATCC 25923, Escherichia coli ATCC 25922, Streptococcus pneumoniae ATCC 33400の3株を用いスペクトルの異なる5種の抗菌薬のMICを1日5回, また日を替え5回測定したがすべて2倍以内に収まっていた。また比較的熟練した測定者と経験の浅い者と特に差は認めなかった。ETestは日本化学療法学会標準法の寒天平板希釈法ともよく一致し測定者によるバラツキも少ないことから簡易MIC測定に有用であると考えられる。ETestを利用して, 各種抗菌薬のメチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA) 15株およびメチシリン感受性S.aureus (MSSA) 10株のMICを測定した。ETestによる9薬剤の平均MICおよびMIC90値は, 常用の寒天平板法による成績と比較的よく相関した。

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