日本化学療法学会雑誌
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肺炎に対するazithromycinの薬効比較試験成績-Clarithromycinとの二重盲検試験
小林 宏行他
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1995 年 43 巻 8 号 p. 757-774

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抄録

新規経口用マクロライド系抗生物質azithromycin (AZM) の肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を検討するために, clarithmmycin (CAM) を対照薬として無作為化二重盲検比較試験を実施した。AZMは1回500mg (力価) を1日1回3日聞, CAMは1回200mg (力価) を1日2回14日間投与し, 以下の結果を得た。
1. 総症例163例中, 臨床効果の解析射象症例122例における有効率 (「著効」+「有効」の割合) はAZM群98.3%(58例/59例), CAM群90.5%(57例/63例) であった。両群聞に有意差は認められなかったが, AZMのCAMに対する臨床的同等性は検証された (Δ=10%, p<0.001)。
2. 分離菌の消失率 (「消失」+「菌交代」の割合) はAZM群86.7%(13例/15例), CAM群88.2%(15例/17例) であった (有意差なし)。
3. 随伴症状 (副作用) の発現率はAZM群4.1%(3例/74例), CAM群6. 7%(5例/75例) であった (有意差なし)。
4. 臨床検査値の異常変動の発現率はAZM群20.8%(15例/72例), CAM群21.4%(15例/70例) であった (有意差なし)。
5. 概括安全度の解析対象症例144例における安全率 (「問題なし」の割合) はAZM群77.8%(56例/72例), CAM群73.6%(53例/72例) であった (有意差なし)。
6. 有用性の解析対象症例121例における有用率 (「きわめて有用」+「有用」の割合) は, AZM群94.9%(56例/59例), CAM群87.1%(54例/62例) であった (有意差なし)。
以上の成績より, 肺炎に対してAZMはCAMと同様に有用性の高い薬剤であると考えられた。

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