日本化学療法学会雑誌
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慢性気道感染症に対するazithromycinの薬効比較試験成績
Clarithromycinとの二重盲検試験
小林 宏行他
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1995 年 43 巻 8 号 p. 775-792

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抄録

新規経口用マクロライド系抗生物質azithromycin (AZM) の慢性気道感染症に対する有効性, 安全性および有用性を検討するために, clarithromycin (CAM) を対照薬として無作為化二重盲検比較試験を実施した。AZMは1回500mg (力価) を1日1回3日間, CAMは1回200mg (力価) を1日2回14日間投与し, 以下の結果を得た。
1. 総投与症例171例中, 臨床効果の解析対象症例144例における有効率 (「著効」+「有効」の割合) はAZM群94.5%(69例/73例), CAM群83.1%(59例/71例) であった。両群間に有意差は認められなかったが, AZMのCAMに射する臨床的同等性は検証された (Δ=10%, p<0.001)。
2. 分離菌の消失率 (「消失」+「菌交代」の割合) はAZM群75.8%(25例/33例), CAM群68.2%(15例/22例) であった (有意差なし)。
3. 副作用の発現率はAZM群7.6%(6例/79例), CAM群5.1%(4例/78例) であった (有意差なし)。
4. 臨床検査値の異常変動の発現率はAZM群13.5%(10例/74例), CAM群9.3%(7例/75例) であった (有意差なし)。5. 概括安全度の解析対象症例149例における安全率 (「問題なし」の割合) はAZM群79.7%(59例/74例), CAM群86.7%(65例/75例) であった (有意差なし)。
6. 有用性の解析対象症例138例における有用率 (「きわめて有用」+「有用」の割合) はAZM群慢性気道感染症に対してAZMはCAMと同様に有用性の高い薬剤であると考えられた。

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