日本化学療法学会雑誌
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Pazufloxcinの体内動態における食事の影響とofloxacinとの比較
齋藤 玲
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 180-189

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抄録

新しいピリドンカルボン酸系抗菌薬であるpazufloxacin (PZFX) の体内動態における食事の影響およびofloxaicin (OFLX) との比較を検討した。
PZFXでは空腹時および食後に, OFLXでは空腹時にそれぞれ200mgを単回経口投与し, three way cross-over法にて検討を行った。
PZFXの空腹時のCmaxは2.96μg/ml, 食後で1.67μg/mlと低値を示し, Tmaxは0.85時間から1.61時間と延長を認めた。T1/2は1.91時間, 1.79時間と同等であった。AUC0~∞は865μg・h/ml, 7.15μg・h/mlとほぼ同等であった。また, 尿中排泄率も24時間まででPZFXは空腹時で78.8%, 食後で80.7%と差を認めなかった。これらのことより, 食事は本剤の吸収にほとんと影響を与えないものと考えた。
空腹時でのPZFXとOFLXの比較では, PZFXのCmaxがOFLXの2.25μg/mlに比べ高値を示した。OFLXのTmaxは0.83時間でPZFXとほぼ同等であった。T1/2はPZFXが1.91時間に対しOFLXでは5.35時間と長かった。AUC0~∞はOFLXが13.73μg・h/mlとPZFXに比べ高値であった。
24時間までのOFLXの尿中排泄率は72.0%で, PZFXがよりよい尿中移行を示した。
PZFXの唾液中濃度は血中の約1/4の濃度で推移した。OFLXの唾液中濃度は血中濃度とほぼ同じであった。いずれも血中と唾液は良い相関を示し, 唾液中濃度が血中濃度の指標となることが示唆された。

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