日本化学療法学会雑誌
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内科領域感染症に対するpazufloxacinの基礎的・臨床的検討
島田 馨岡 慎一佐野 靖之宮本 康文荒井 康男稲松 孝思深山 牧子増田 義重畠山 勤石濱 裕美子
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キーワード: PZFX, 抗菌力, 呼吸器感染症
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 226-232

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抄録

経口キノロン系抗菌薬Pazufloxacin (PZFX) のStreptuoccus pneumniaeに対する最小発育阻止濃度川10を測定した, また, 内科領域感染症20例について臨床的検討を行った。
1.PZFXの血液および喀痰・咽頭・耳漏等由来のS.pneumoniaeに対するMICを寒天平板希釈法により測定し, 他剤と比較検討した。
PZFXはPenicillin-sensitive S.pneumoniae (PSSP) に対してMIC50, MIC90が各々3, 13μg/ml, 6.25μg/mlであり, Penlcillin-insensitive S.pneumniae (PISP) に対しても同様であった。tosufloxacin (TFLX) のMIC50, MIC90はPSSPで0.2μg/ml, 0.39μg/ml, PISPで0.2μg/ml, 02μg/mlと, TFLXがPZFxに比べ4管ほど優れていた。Benzylpenicillin (PCG) の高度耐性株に対するPZFxのMICは3.13~6.25μg/mlであり, PCG耐性株においてPZFXとPCGとの問には交叉耐性は認められなかった。
2.呼吸器感染症18例, 尿路感染症2例の計20例にPZFXを1日300~600) mg投与し, その有効性, 安全性について検討した、臨床効果の評価町能症例は19例でその疾患別臨床効果は肺炎2/2, 慢性気管支炎10/11, 気管支喘息+感染4/4, 肺気腫+感染1/1, 腎盂腎炎1/1が有効以上で, 有効率は94, 7%(18/19) であった.起炎菌が同定されたのは3例でErwinia agglomerans1株, Pseudomonas aeruginosa2株, およびMorganella morganii, Enterococcus faecalis, Proteusmirabilis, Klebsiella pneumoniaeが各々1株検川された。このうち, 投与後検査を行えなかったP.aeruginosa 1株と存続したE.agglomerans1株を除き全て消失した。副作用は20例全例が検討可能であり, 1例において投与開始4日後に皮疹が認められ, 本剤の投与を中止した。同症例にて臨床検査値異常として好酸球の上昇が認められた。

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