1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 332-338
新しいニュー・キノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) について基礎的・臨床的検討を行った。基礎的検討として教室保存の尿路感染症患者の尿から分離した6菌種147株に対するPZFXのMIC値をofloxacin (OFLX), tosufioxacin (TFLX), fleroxacin (FLRX) との問で比較した。グラム陽性菌であるStaphylococcus aureusおよびEmterococcus faecalisに対して, PZFXはTFLXよりも劣るが他の2剤と同等であった。グラム陰性悍菌であるEscherichia coli, Klebsiella pueumoniae, Serratia marcescensおよびPseudomonas aeruginosaに対してはTFLXと同等あるいはやや優れており他の2剤よりも2~3管あるいはそれ以上優れていた。
臨床的にはカテーテル非留置の複雑性腎盂腎炎12例, 複雑性膀胱炎22例に対しPZFXを投与し, その臨床効果および副作用について検討した。UTI薬効評価基準に準じた総合臨床効果は著効16例, 有効10例で92.9%の有効率であった。自他覚的副作用ならびに臨床検査値の異常変動は1例も認められなかった。
以上より本剤は尿路感染症の治療に非常に有用な薬剤と考えられた。