日本化学療法学会雑誌
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Ritipenem acoxilに関する臨床的検討
柴 孝也坂本 光男中沢 靖前沢 浩美吉川 晃司吉田 正樹酒井 紀齋藤 篤
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1995 年 43 巻 Supplement3 号 p. 134-139

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抄録

新しい経口ペネム剤ritipenem acoxil (RIPM-AC) の体内薬物動態および臨床的有用性の検討を行い, 以下の成績を得た。
1. 薬物動態
本剤の体内動態検討のため, 健康成人男子志願者6名 (年齢20~22歳, 平均体重69.3kg) を対象としてRIPM-AC 200mg単回投与時の体内動態に及ぼすprobenecid併用による影響をcross-over法にて比較検討した。probenecid併用時の薬動力学的パラメーターは非併用時に比べT1/2が0.61時間から0.91時間に延長, Cmaxが1.88μg/mlから2.87μg/ml, AUCが2.55μg・h/mlから4.53μg・h/mlに増大しており, 一方, 腎クリアランスは139.7ml/minから32.6ml/mlnに減少した・以上の成績により, 本剤の腎排泄機序として, 糸球体濾過のほか尿細管分泌の関与が示唆された。
2. 臨床的検討
扁桃炎1例, 急性気管支炎2例, 肺炎4例の計7例にRIPM-ACを1回150~500mg1日3回4~14日間投与した。臨床効果は著効1例, 有効4例, やや有効1例, 無効1例であった。細菌学的効果は, 起炎菌が分離されず不明であった。副作用は認められなかった。臨床検査では1例にGOT, GPTの軽度上昇が認められた。

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