日本化学療法学会雑誌
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Ritipenem acoxilの基礎的, 臨床的検討
澤江 義郎岡田 薫下野 信行三角 博康江口 克彦仁保 喜之高木 宏治
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キーワード: 抗菌活性, 臨床評価
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1995 年 43 巻 Supplement3 号 p. 165-170

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抄録

新しく開発されたペネム系抗生物質のritipenem acoxil (RIPM-AC) について基礎的,臨床的検討を行った。
RIPM-ACの活性体であるritipenem (RIPM) の臨床分離株に対する抗菌力をampicillin (ABPC), cefaclor (CCL), cephalexin (CEX) およびcefpodoxime (CPDX) を対照薬として, 九州大学第一内科入院患者由来の臨床分離株11菌種223株について測定した。グラム陽性菌に対してはABPCとほぼ同等で, セフユム系薬より優れていた。グラム陰性菌に対してはCPDXとほぼ同等で, その他の薬剤より優れていた。肺炎6例, 気管支肺炎1例, 気管支炎3例, 気管支拡張症1例, 肺化膿症1例の計12例にRIPM-ACを450~600mg/日, 7~28日間経口投与したところ, その臨床効果は著効2例, 有効8例, やや有効1例, 無効1例で, 有効率は83%であった。起炎菌として同定できた6株については, 1株消失, 4株減少, 1株不変であった。副作用として, 食欲不振・嘔気・嘔吐が1例にみられ, 臨床検査値異常として, 好酸球増加, GPT上昇が各1例にみられた。

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