日本化学療法学会雑誌
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耳鼻咽喉科領域感染症に対するcefluprenamの基礎的・臨床的検討
大山 勝古田 茂原口 兼明上野 員義矢野 博美西園 浩文廣田 常治
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1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 237-241

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抄録
耳鼻咽喉科領域の感染症に対するcefluprenam (CFLP) の基礎的・臨床的検討を行い以下の成績が得られた。
1. 組織移行に関する検討
口蓋扁桃, 上顎洞粘膜, 顎下腺, 耳下腺へのCFLP 1g静注後25~138分の組織移行について検討した。口蓋扁桃への移行率 (組織・血清比) は平均25.7%(n=18), 上顎洞粘膜では平均36.8%(n=3), 顎下腺では平均52.0%(n=6), 耳下腺では平均36.2%(n=3) であった。
2. 臨床的検討
耳鼻咽喉科領域感染症19例についてCFLPを1回1g1日2回, 静注または点滴静注し, 臨床効果, 細菌学的効果ならびに安全性について検討した。臨床効果は, 脱落2例を除いた17例中著効11例, 有効5例, やや有効1例で94.1%の有効率であった。細菌学的効果は11例より分離された20株 (グラム陽性菌6株, グラム陰性菌14株) について検討され, 不明5株を除き全株が除菌され, 100%の消失率であった。臨床検査値異常としてGOT・GPT各値の上昇が1例にみられたが, 副作用は皆無であった。
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