日本化学療法学会雑誌
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新フルオロキノロン薬balofloxacinのin vitro, in vivo抗菌作用
岩崎 容明宮崎 修一辻 明良金子 康子山口 惠三五島 瑳智子
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 17-26

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抄録

フルオロキノロン系広域抗菌薬balofloxacin (BLFX) のin vitroおよびいin vivo抗菌作用を, ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), tosunoxacin (TFLX), sparfloxacin (SPFX) およびlomefloxacin (LFLX) を対照薬に用いて評価した。BLFXはin vitro薬剤感受性試験においてグラム陰性菌からグラム陽性菌まで幅広い抗菌作用を示した。特にBLFXの臨床分離MRSAに対するMIC90値は8.0μg/mlと良好で, この値はSPFXのMIC90値の1/2倍であった。BLFXの臨床分離メチシリン感受性Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pneumoniaeおよびStreptococcus pyogenesに対するMIC90値は各々0.25, ≦0.063, ≦0.063および0, 125μg/mlであった。これらの値はCPFXおよびLFLX各値の1/2以下で, SPFXおよびTFLXの各値と同等であった。他のグラム陰性菌に対するBLFXのMIC値は比較キノロン薬の2倍から4倍であった。
マウス全身感染モデルにおいてBLFXはin vitroの抗菌作用を反映した良好な治療効果を示した。BLFXはS. pneumoniae TMS-3を用いたマウス呼吸器感染 (肺炎モデル) 実験においてSPFXおよびTFLXと同等の優れた治療効果を示した。また, BLFXはEscherichia coli TMS-3を用いたマウス上行性尿路感染 (腎炎モデル) 実験において, OFLXと同等の治療効果を示した。BLFXをマウスに50mg/kg経口投与した場合の血清中, 肺内および腎内最高濃度は, 各々3.35±0.95μg/ml (投与15分後), 9.57±2.67μg/g (15分後) および11.64±2.43μg/g (30分後) であった。

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