日本化学療法学会雑誌
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新規経口用キノロン薬balofloxacinの試験管内抗菌力と呼吸器感染症に対する臨床効果
高木 健三荒井 孝小川 清隆松本 浩平野田 康信権田 秀雄田野 正夫近藤 征史原 通廣進藤 丈堀場 通明渡辺 好明田中 斉
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キーワード: 呼吸器感染症
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 236-241

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抄録

新規経口用キノロン薬balofloxacin (BLFX) の抗菌力を新鮮臨床分離株 (1992年11月~ 翌年3月) を用い検討した。BLFXに対するStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidisおよびStreptococcuspneumoniaeの感受性は0.1~1.56μg/mlに分布し, その活性はofloxacin (OFLX) より2~4倍, norfloxacin (NFLX) やenoxacin (ENX) より4~8倍強かった。Haemphilus influenzaeに対してもOFLXやENXより4倍強かった。Klebsiella pneumoniaeに対してはOFLXやENXより2~4倍劣ったが, NFLXと同等の抗菌活性を示した。
一方, 呼吸器感染症14例を対象にBLFXの臨床効果について検討した結果, 著効4例, 有効7例の感染症状改善が認められた。特に, マイコプラズマ肺炎1例を含む肺炎5例と急性気管支炎2例では全て著明に改善した。起炎菌は10症例より10菌株が分離され, 細菌学的評価可能な症例7例全てで除菌された。
安全性面では, 軽度の食欲不振とS-GPTおよびBUNの上昇が発現したが, 特に問題となる症状は発現しなかった。
以上の成績より, 本剤は呼吸器感染症の化学療法に安全かつ有用な新規経口用キノロン薬であると考えられた。

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