日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
外科領域感染症に対するbalofloxacinの基礎的および臨床的検討
国松 正彦岩井 重富古畑 久大塚 一秀中川 良英裴 正徳佐藤 毅加藤 高明新井 尚之村中 博加沢 玉恵須田 清美椨 真由美田中 隆
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 341-345

詳細
抄録

胆石摘出術施行患者に新規経口キノロン薬balofloxacin (BLFX) 200mgを経口単回投与し経時的に濃度測定した。血清中濃度は1時間後 (1.11μg/ml), 3時間後 (1.27μg/ml), 5.5時間後 (1.11μg/ml), 胆汁中濃度は3時間後 (16.52μg/ml), 5.5時間後 (20.07μg/ml) で血中より13~18倍高い移行を示した。胆嚢組織内濃度は3時間後 (1.92μg/ml) であった。
臨床分離株を用い抗菌力を検討した結果, BLFXはcefaclor, tosufloxacin, ofloxacinと同等か優れた抗菌力を示した。
外科感染症7例 (肛門周囲膿瘍4例, 胆管炎1例, 乳腺炎1例, 下腹部節1例) に本剤1回200mg, 1日2回投与したところ, 臨床効果は, 著効2例, 有効5例であった。4例からPeptostreptococcus anaerobius 2株, Escherichia coli 2株, Clostridium sp. 1株, Bacteroides sp. 1株が検出され, 投与後全株が除菌された。
副作用は1例に腹部膨満感, 1例に心窩部痛がみられたが, 臨床検査値の異常変動は認められなかった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top