1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 60-76
balofloxacin (BLFX) は, キノロン骨格の8位にメトキシ基を導入したニューキノロン系経口抗菌薬である。BLFXのin vitro抗菌力を, ofloxacin (OFLX), norfloxacin (NFLX), cipronoxacin (CPFX), tosunoxacin (TFLX) およびlomefloxaciを (LFLX) と比較検討した。
各種臨床分離株に対する感受性分布では, BLFXはメチシリン感受性Staphylococcus aureus (MSSA), Staphylococcus epidermidiS, Streptococcus属, Enterococcus属, Escherichia coli, Klebsiellapneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia stuartii, Haemophilusinfluenzae, Xanthomonas maltophilia, Bacteroides fragilisに対して0.05~3.13μg/mlのMIC90を示した。中でもMSSA, Streptococcus属, Enterococcus属に対しては比較薬中最も優れた抗菌力を示した。また, BLFXは供試したメチシリン耐性S. aureus (MRSA) のすべての菌株の発育を6.25μg/mlの濃度で抑制し, 比較薬中最も優れた抗MRSA活性を示した。BLFXの抗菌力は, 培地, 血清添加および接種菌量の影響を受け難いが, 比較薬と同様に高濃度の金属イオン存在下や培地pHの酸性域で抗菌力が低下した。BLFXの殺菌力は強く, MICとMBCはほぼ同値を示した。さらに, BLFXは黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して良好なpostantibiotic effect (PAE) を有していた。