日本化学療法学会雑誌
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Azithromycinのin vitro抗菌力および呼吸器感染症に対する臨床的検討
渡辺 彰庄司 聡高橋 洋菊地 宏明貫和 敏博本田 芳宏中井 祐之滝沢 茂夫
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キーワード: 抗菌力, 呼吸器感染症
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1995 年 43 巻 Supplement6 号 p. 204-211

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抄録

Azithromycin (AZM) の臨床分離株6菌種, 計138株に対するin vitro抗菌力を, erythromycin, clarithromycin, roxithromycinと比較検討すると共に呼吸器感染症13例に対する本剤の臨床効果, 細菌学的効果及び安全性を検討した。Staphylococcus aureus (MSSA及びMRSA) に対する本剤の抗菌力は対照薬の1/2~1/4であった。腸内細菌科 (Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens) 及びPseudomonas aeruginosaに対しては対照薬より2~32倍あるいは64倍強かった。急性気管支炎2例, 慢性気管支炎2例, 陳旧性肺結核+感染1例, 肺炎7例, マイコプラズマ肺炎1例の計13例に, 本剤の1回250mg (6例) あるいは500mg (7例) を全例で1日1回, 計3日間投与して著効が4例, 有効9例の成績を収めた。本剤投与前にS. aureus1株, Streptococcus pneumoniae 6株, Haemophilus inflnenzae 1株の計8株を分離し, 投与後に6株が消失, 2株が減少 (S. aureusS. pneumoniae各1株) の成績であった。下痢を2例, GOTとGPTの上昇を1例に認めたが, いずれも投与終了後に改善した。AZMは呼吸器感染症に対する有力な第一次選択薬剤の一つと考えられる。

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