日本化学療法学会雑誌
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新しいマクロライド系抗菌薬azithromycinの産婦人科領域における有用性の検討
保田 仁介山元 貴雄岡田 弘二
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1995 年 43 巻 Supplement6 号 p. 319-325

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抄録

新しいマクロライド系抗菌薬azithromycin (AZM) について産婦人科領域における臨床的検討を行い以下の結果を得た。
同意の得られた子宮内膜炎3例, バルトリン腺膿瘍3例および, Chlamydia trachomatis (以下クラミジア) による非淋菌性子宮頸管炎20例の計26例の産婦人科性器感染症に対し, 子宮内膜炎, バルトリン腺膿瘍では本剤1回250mgまたは500mgを1日1回3日間, クラミジア性・非淋菌性子宮頸管炎では本剤1回500mgの単回投与を行ったところ, 臨床効果は子宮内膜炎, 子宮頸管炎の各1例を除いて有効となり, 全体の有効率は92.3%であった。
細菌学的効果は本剤投与前にグラム陽性菌5株, グラム陰性菌2株, 嫌気性菌2株, C. trachomatis20株の計29株が検出されEscherichia coli, C. trachomatisの各1株を除いて消失し, 全体の消失率は93.1%であった。
また本剤投与による自他覚的副作用および臨床検査値の異常変動は1例もみられなかった。
以上のことからAZMは産婦人科性器感染症に対して有用となり得ると考えられた。

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