日本化学療法学会雑誌
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歯科・口腔外科領域の感染症に対するazithromycinの臨床的検討
佐々木 次郎
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1995 年 43 巻 Supplement6 号 p. 339-354

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抄録

新しいマクロライド系経口抗生物質azithromycin (AZM) について, 歯科・口腔外科領域への適応を臨床的に検討した。
1) 歯科・口腔外科領域の感染症148例に対して, AZM250mgまたは500mgを1日1回, 3日間投与し臨床的検討を行った。250mg投与時の有効率 (評点比判定) は65.0%(13例/20例), 500mgでは90.7%(98例/108例) であった。
2) 疾患別の有効率は歯周組織炎78.7%(37例/47例), 歯冠周囲炎90.0%(27例/30例), 顎炎92.2%(47例/51例) であった。
3) 菌消失率 (「消失」+「菌交代」の割合) は92.3%(60例/65例) であった。
4) 500mg投与群1例に発疹がみられ, 全体の副作用発現率は0.7%(1例/146例) であった。臨床検査値の異常変動発現率は9.0%(12例/134例) であった。
5) 安全率 (「問題なし」の割合) は91.1%(133例/146例) であった。
6) 有用率 (「有用」以上の割合) は82.2%(106例/129例) であった。
7) AZM 250mgもしくは500mgを術前に投与し, 口腔外科手術を施行した71症例を対象に, 抜歯創貯留液または, 血中および口腔組織への移行性を検討した。AZM 500mg単回投与後, 1.4時間から20.5時間までの抜歯創貯留液中濃度は0.01~0.95μg/mlであった。各組織内濃度は投与後3時間から28時間までに歯肉0.27~5.6μg/g, 嚢胞壁0.57~14.1μg/g腫瘍・上顎骨等, その他の口腔組織0.06~2.50μg/gの濃度が認められた。
以上の成績から, AZMは歯科・口腔外科領域感染症に対し有用な薬剤である。

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