日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
キノロン薬の血糖値におよぼす影響
桜井 磐吉田 正樹石田 裕一郎松本 文夫高橋 孝行森田 雅之上田 泰
著者情報
キーワード: キノロン薬, 低血糖
ジャーナル フリー

1996 年 44 巻 10 号 p. 798-803

詳細
抄録

ニューキノロン薬による低血糖症状の報告が, 欧米はじめ本邦で散見されている。我々は, 非糖尿病性慢性腎不全患者5例を対象にenoxacin 1回200mg1日3回, 3~5日使用し, 使用前後に75g経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) を施行して, 血糖値, 血中インスリン, C-ペプチド.グルカゴン.成長ホルモンおよびコルチゾール値の推移を検討した。これら症例のOGTT空腹時血糖値はenoxacin使用により有意の変動を認めなかったが, インスリン平均値はenoxacin使用により6.4μU/mlから9.6μU/mlへと上昇傾向を認め, OGTT 30分のインスリン値はenoxacin負荷により低下傾向を示した。これらの成績はenoxacinによるインスリン分泌亢進とともに, インスリンの末梢組織あるいは肝での感受性亢進の可能性を示唆するものである。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top