日本化学療法学会雑誌
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呼吸器感染症におけるシプロフロキサシン細粒剤の臨床的検討
小田切 繁樹他
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1996 年 44 巻 11 号 p. 842-852

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抄録

呼吸器感染症のうち急性扁桃炎, 急性咽喉頭炎, 以上1群と慢性気管支炎, 気管支拡張症 (感染時), 以上II群を対象とし, ciprofloxacin (CPFX) 細粒剤をCPFXとして1回200mg, 1日3回食後経口投与し, 本剤の有効性, 安全性および有用性をオープン試験にて検討した。投与期間は原則として, 1群では7日間以内, II群では14日間以内とした。総投与症例は41例であり, 疾患別では急性扁桃炎4例・急性咽頭炎10例のI群14例, 慢性気管支炎14例・気管支拡張症 (感染時) 13例のII群27例であった。臨床効果での有効率は1群100%(13113例), II群83.3%(20/24例), 全体では89.2%(33/37例) であった。一方, 細菌学的効果における菌消失率は, 全体で73.1%(19/26株) であった。副作用は4例 (9.8%) に6件の消化器症状がみられたが, いずれの症状も軽度で, 投与終了または中止後に速やかに消失した.臨床検査値異常は2例 (5.4%) にGPT上昇がみられた。概括安全度での安全率は86.8%(33/38例) で, 有用性での有用率は81.1%(30/37例) であった。以上の成績から, 本細粒剤は呼吸器感染症に対して良好な有効性および安全性を有することが確認された。

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