日本化学療法学会雑誌
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Pazufloxacinの尿中抗菌力に関する研究
健康成人男子でのofloxacinとの比較
宮崎 茂典松井 隆荒川 創一守殿 貞夫前田 幸正水山 和之
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キーワード: 尿中抗菌力, 体内動態
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1996 年 44 巻 2 号 p. 90-95

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抄録

Pazufloxacin (PZFX) およびofloxacin (OFLX) を健康成人男子6名に1回200mg単回経口投与するcross over試験を実施し, 得られた尿検体のStaphylococcus aureus, Enterococcus faecalis, Eschericgia coli, Pseudomonas aeruginosaに対する抗菌力を比較検肘した。最高平均尿中薬剤濃度は, PZFIX投与群で763μg/ml (投与後0~2時間), OFLX投与群で281μg/ml (投与後2~4時間) であった。各菌株に対する尿中抗菌力は, PZFX投与群が, 4時閥後までの検体でOFLX投与群より優れていた。特にキノロン中等度耐性のS.aureus, E.coliおよびP.aeruginosaに対する尿中抗菌力は, OFLX投与群が原尿でも認められない場合があったのに対して, PZFX投与群では4時間後までの検体はすべて4倍以上希釈しても抗菌活性が認められた。このような縞果はPZFXがOFLXより優れた抗菌力と初期の高い尿中薬剤濃度を反映したものと思われた。尿中での最小発育阻止濃度 (MIC) とcation-adjustedMueller-Hintonbroth (CAMHB) でのMICと比較したところ, PZFXおよびOFLXは尿中で抗菌力が低下することが認められた。PZFXは尿中での抗菌力の低下は認められても2管程度であったが, OFLXは5管以上の低下が認められる場合があり, E.coliでは特に顕著な抗菌力の低下が認められた。

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