日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
内因性緑膿菌敗血症におけるendotoxin感受性および非感受性マウスの比較
朝野 和典平潟 洋一古谷 信彦松本 哲哉館田 一博賀来 満夫河野 茂山口 恵三原 耕平
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 44 巻 6 号 p. 397-402

詳細
抄録

緑膿菌を内因性に持たないspecific pathogen free (SPF) マウスに緑農菌D-4m株を経口的に接種し, ampicillinを同時に投与して腸管に定着させた。さらに, マウスに150mg/kgのサイクロフオスファマイドを2回投与して, 顆粒球減少状態にすることで, 内因性の緑膿菌による敗血症を惹起するモデルを作成した。このモデルを用いて, Endotoxin感受性の異なるC3H/HeNマウス (感受性) とC3H/HeJマウス (抵抗性) の緑膿菌による内因性感染症に対する致死性と臓器内菌数の比較を行った。その結果, C3H/HeJマウスはC3H/HeNマウスに比べ, 緑膿繭性内因性敗血症に対し感受性であった (P<0.001)。また, C3H/HeJマウスの肝臓や脾臓, 心臓の血液から分離される緑農菌の菌数は経時的に増加したが, C3H/HeNマウスでは増加が抑制された。緑膿菌D-4m株の静注によるLD50 は, 両群のマウスで有意差をみなかった。また緑膿菌を静注した後の血液からの除菌率の検討でも, 両群のマウスに差はみられなかった。これらのことから, endotoxin感受性マウスでは, 以前に我々が報告した全身性敗血症にさきだつbacterial translocationによるendotoxinの血流中への流入が網内系の活性化をもたらし, 敗血症発症に対する抵抗性を獲得するものと考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
次の記事
feedback
Top