日本化学療法学会雑誌
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呼吸器感染症におけるcefotiamの臨床効果
経口投与単独群対単回点滴静注後経口投与群との比較
松島 敏春山口 惠三菅野 治重柴 孝也那須 勝河野 茂山田 穂積斎藤 厚
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1996 年 44 巻 8 号 p. 649-658

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抄録

主に外来治療可能な軽症から中等症の肺炎, 慢性気管支炎の急性増悪を含む気管支炎, 慢性呼吸器疾患の二次感染を対象に無作為割付けでcefotiam (CTM) 1g単回点滴静注し以後cefotiam-hexetil (CTM-HE) 600mg/日 (分3) を5~7日間経口投与 (A群) とCTM-HE600mg/日 (分3) を5~7日間経口投与 (B群) の2群間において臨床効果を比較検討した。臨床効果判定は判定不能例2例 (各群1例) を除くA群29例, B群35例, 計64例で行い, 以下の成績を得た。
1) 臨床効果は, A群とB群それぞれ著効率は24.1%(7/29), 2.9%(1/35), 有効率は62.1%(18/29), 62.9%(22/35), 著効と有効を合わせた有効率はそれぞれ86.2%, 65.7%であり, A群で有意に優れていた (p<0.01)。
2) 自他覚症状の改善は両群間に有意差は認められなかったが, A群で治療早期に改善される傾向があった。
3) 細菌学的効果は, 細菌の消失率はA群88.2%(15/17), B群69.2%(9/13) であったが, 両群間に有意差は認められなかった。
4) 両群とも副作用 (臨床症状, 臨床検査値の異常変動等) は全例において認められなかった。
以上の結果, 初診時にCTM点滴静注の単回投与を行い. その後CTM-HEの経口投与を実施することは, 臨床上有用な治療方法で外来治療に応用できる方法と考えられた。

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