日本化学療法学会雑誌
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血液疾患患者に合併した好中球減少をともなった感染症におけるamikacinとimipenem/cilastatin sodiumおよびG-CSF併用療法の臨床効果
外山 圭助他
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1996 年 44 巻 9 号 p. 753-760

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抄録

血液疾患に合併した好中球減少症の感染症32患者に対し, amikacin (AMK) とimipenem/cilastatin sodium (IPM/CS) および顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) を併用投与し, 臨床効果を検討した。
1. 臨床効果は, 32例中敗血症3例を含む24例が有効以上を示し, 75.0%の有効率であった。
2. 効果判定時に好中球数が100/μl未満であった10症例の有効率は90%であった。抗生剤投与開始時から効果判定時の好中球数の増加が20%以上あった症例の有効率は81.8%(9/11) であったのに対し, 20%未満では有効率は66.7%(8/12) であったが, 両群間に有意な差は認められなかった。
3. AMKとIPM/CS併用療法を行ったhistorical controlのうち今回の対象に見合う29症例では有効率75.9%であった。historical controlとG-CSF群を比較すると, 有効率, 最高体温の推移, 有熱期間とも有意な差は認められなかった。
以上より, AMKとIPM/CS併用療法は好中球数が少ないときにも, G-CSFの好中球増加効果の有無にかかわずきわめて有用と考えられる。

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