日本化学療法学会雑誌
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NM441の一般薬理作用 (2) 呼吸・循環器系, 泌尿器系およびその他の組織に及ぼす影響
倉 紘平越智 誠支田中 充士岡本 美由紀林 誠治尾崎 孝幸武部 美香松尾 典子井上 吉郎上田 房雄吉國 義明木村 喜代史
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1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 129-146

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抄録

NM441の呼吸・循環器系, 泌尿器系およびその他の組織に及ぼす影響を検討し, 以下の成績を得た。麻酔非開胸犬においてNM441の活性本体であるNM3941mg/kg以上の静脈内投与 (以下, i. v.) で心電図波形に変化 (P, RおよびT波高の増減, PおよびT波高の逆転等) がみられ, 3mg/kgi.v. 以上で血圧下降, 10mg/kgi.v. で呼吸数の増加, 大腿動脈血流量の減少がみられた。NM441100mg/kgの十二指腸内投与では心拍数の軽度な増加以外に呼吸・循環器系に対する影響はみられなかった。麻酔開胸犬においてNM3943mg/kgi. v. 以上で血圧下降, 左心室内圧および左心室内圧拡張末期圧の減少, 大腿動脈血流量の増加ないし増加傾向, 総末梢血管抵抗の減少傾向がみられ, 10mg/kgi.v. で心拍数, 心拍出量およびdp/dt maxの減少がみられた。麻酔ネコにおいてNM394 10mg/kgi. v. で血圧下降とともに頸動脈閉塞による昇圧反応およびacethylcholineによる降圧反応の抑制, noradrenalineによる昇圧反応の抑制傾向がみられた。麻酔ラットにおいてNM39410mg/kgi. v. による血圧下降はcimetidineあるいはdiphenhydramine 10mg/kgi. v. の前処置によって抑制された。NM39430mg/kg i. v. でモルモットにおける気道収縮作用はみられなかった。NM3943×10-4M以上でモルモット摘出乳頭筋の収縮に軽度な抑制がみられた。ラットの摘出大動脈において, NM39410-4M以上でnoradrenaline収縮の抑制, 10-3MでK+収縮の軽度な抑制がみられた。ラットにおいてNM441 1,000mg/kgの経口投与でcarrageenin浮腫に対する抑制がみられ, 腎機能, 肝機能, 血糖値および血液凝固系に対する影響はみられなかった。NM39410-3Mでウサギ血小板のcollagen凝集に対する抑制がみられたが, ADPおよびarachidonicacid凝集に対する抑制ならびにラット赤血球溶血作用はみられなかった。

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