日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
慢性気道感染症に対するNM441の臨床用量検討試験
小林 宏行他
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 362-378

詳細
抄録

ニューキノロン系抗菌薬NM441の呼吸器感染症に対する臨床至適用量を検討する目的で, 慢性気道感染症を対象とし, ofloxacin (OFLX) を対照薬として無作為割付けによる群間比較試験を実施した。投与量は1日量でNM441が400mg (分2)(以下L群) および600mg (分2)(以下H群), OFLXが600mg (分3)(以下C群) とし, 投与期間は原則として14日間とした。成績の概略は以下のとおりであった。
1) 総投与症例91例中臨床効果の解析対象例は82例で, 有効率はL群84.6%(22/26), H群89.3%(25/28), C群96.4%(27/28) であった。
2) 細菌学的効果 (消失率) はL群81.8%(9/11), H群90.9%(10/11), C群100%(13/13) であった。
3) 副作用の発現率はL群3.6%(1/28), H群10.3%(3/29), C群0%(0/29) であった。臨床検査値の異常変動の発現率はL群16.7%(4/24), H群0%(0/27), C群14.8%(4/27) であった。
4) 有用性 (有用率) はL群81.5%(22/27), H群82.8%(24/29), C群96.4%(27/28) であった。以上の検討項目において, 3群間に有意差は認められなかった。NM441は呼吸器感染症に対して1日400mgでも十分な効果が期待されるものの, 難治性要因が比較的強い慢性気道感染症に対する臨床至適用量は1日600mgが妥当と考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top