日本化学療法学会雑誌
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新キノロン系抗菌薬NM441の嫌気性菌に対する抗菌力
加藤 直樹加藤 はる田中 香お里渡辺 邦友上野 一恵
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1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 50-55

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抄録

新キノロン系抗菌薬NM441の抗菌活性体であるNM394の嫌気性菌と一部の通性嫌気性菌に対するin vitro抗菌力を検討した。参考菌株を用いた検討では, NM394の抗菌スペクトラムは嫌気性グラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広く, 多くの菌種に対してMICは3.13μg/ml以下であった。しかし, Clostridium属やBacteroides fragilisgroupの一部の菌種には抗菌力がやや弱かった。臨床分離株を用いた検討では, NM394はPeptostroptococcus属やグラム陽性桿菌に対してciprofloxacin (CPFX) やtosufloxacinとほぼ同様で, ofloxacinやfleroxacinよりは優れた抗菌力が認められた。グラム陰性桿菌のうちB. fragilisgroupに対しては, NM394はCPFXと同様に抗菌力はやや弱かった。しかし, Prevotella biviaを除く他の菌種に対して90%の菌株を発育阻止するNM394の濃度は≧0.78μg/mlで, 優れた抗菌力を示した。以上をまとめると, NM394は嫌気性菌全般に対しCPFXと同程度のin vitro抗菌力を有していた。また, マウスを用いた動物実験では, NM441の投与を行っても盲腸内でのClostridium diffcileの異常増殖は極めて少ない成績であった。

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