日本化学療法学会雑誌
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内科領域の重症あるいは難治性感染症に対するciprofloxacin注射薬の臨床的検討
原 耕平他
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1997 年 45 巻 11 号 p. 923-935

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抄録

内科領域の重症あるいは難治性感染症を対象とし, ciprofloxacin (CPFX) 注射薬をCPFXとして1回300mg, 1日2回点滴静注し, 本薬の有効性・安全性および有用性をオープン試験にて検討した。投与期間は3~14日間とした。総投与症例は66例であり, 疾患別では慢性気管支炎16例, 気管支拡張症 (感染時) 23例, 慢性呼吸器疾患の二次感染20例, 膿胸2例, その他5例であった。有効性, 安全性, 有用性解析対象例はそれぞれ55例, 62例, 58例であった。対象例での臨床効果 (有効率) は, 慢性気管支炎92.3%(12/13例), 気管支拡張症 (感染時) 59.1%(13/22例), 慢性呼吸器疾患の二次感染72.2%(13/18例), 以上慢性気道感染症では71.7%(38/53例), 膿胸は2例ともやや有効以下で, 全体では69.1%(38/55例) であった。このうち, 他剤無効例に対する有効率は66.7%(8/12例) であった。一方, 細菌学的効果 (菌消失率) は, 全体で65.7%(23/35株) であった。副作用は62例中7例 (11.3%), 10件に認められ, 主な症状は中枢神経症状, 消化器症状であった。いずれの症状も軽度あるいは中等度で, 投与継続中または中止後に消失した。臨床検査値の異常は61例中8例 (13.1%), 19件に認められ, 主な所見はGOT, GPT, γ-GTPの上昇であった。概括安全度での安全率は77.4%(48/62例) で, 有用性での有用率は62.1%(36/58例) であった。以上の成績から, 本注射薬は重症あるいは難治性の慢性気道感染症に対して満足すべき有効性および安全性を示し, 臨床的有用性を有する薬剤であることが確認された。

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