日本化学療法学会雑誌
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外科・婦人科領域の重症あるいは難治性感染症におけるciprofloxacin注射薬の臨床的検討
相川 直樹他
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1997 年 45 巻 11 号 p. 936-950

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抄録

外科系の感染症のうち敗血症, 腹膜炎, 胆道感染症, 外傷・熱傷・手術創の二次感染および婦人科領域感染症の疾患において, 特に対象を重症あるいは難治性感染症に限定し, ciprofloxacin (CPFX) 注射薬をCPFXとして1回300mgを1日2回点滴静注し, 本剤の有効性, 安全性および有用性をオープン試験にて検討した。投与期間は3~14日間とした。本剤投与症例総数は87例であり, 疾患別では敗血症4例, 腹膜炎22例, 胆道感染症11例, 外傷・熱傷・手術創の二次感染33例, 婦人科感染症13例, その他4例であった。このうち, 有効性, 概括安全度, 有用性解析対象例はそれぞれ74例, 85例, 74例であった。臨床効果での有効率は腹膜炎88.2%(15/17例), 胆道感染症63.6%(7/11例), 外傷・熱傷・手術創の二次感染90.6%(29/32例), 婦人科感染症83.3%(10/12例), 敗血症2例中2例で, 全体では85.1%(63/74例) であった。細菌学的効果における菌消失率は, 全体で67.9%(55/81株) であった。副作用は1例 (1.2%) に貧血が認められたが, 投与終了後に回復した。臨床検査値異常は18例 (21.2%) に認められ, 主な所見は好酸球増多およびトランスアミナーゼ値の上昇であった。概括安全度での安全率は80.0%(68/85例) で, 有用性での有用率は83.8%(62/74例) であった。以上の成績から, 本注射薬は外科・婦人科領域の重症あるいは難治性感染症に対して臨床的有用性の高い薬剤であることが確認された。

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