日本化学療法学会雑誌
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Penicillin耐性肺炎球菌による小児急性中耳炎の臨床的, 細菌学的検討
宇野 芳史
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1998 年 46 巻 10 号 p. 396-403

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抄録

1996年9月から1997年8月に検出した小児急性中耳炎由来のペニシリン中等度耐性肺炎球菌 (PISP) あるいはペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) の臨床的細菌学的検討を行い以下の結果を得た.
1.40例43株のPISP, PRSPが検出されたが, これは同期間に検出された肺炎球菌全体の61.2%であり, いままでの報告よりも耐性化の頻度が進んでいた.
2.検出症例の年齢は生後2か月から6歳 (平均1.8歳) と比較的低年齢の症例が多く, また女児よりも男児に多く見られた.
3.血清型別では19, 23, 6型の順に多く検出されたが, 23型が検出された症例で難治化する傾向が認められた.
4.第一選択とすべき経口セフェム系抗生物質はcefditoren pivoxil, cefleram pivoxilと考えられたが, 症例によってはclindamycinも優れた感受性を示すものがあった. しかし, CLDMを使用する場合には高度耐性菌も存在するため, 必ずMIC測定をしたのちに使用すべきであると考えられた.
5.経口抗生物質, 鼓膜切開術等の治療で良好な結果の得られた症例は70%で, 25%の症例では, 耳漏の持続が認められたり, 反復性中耳炎に移行し, 繰り返しPISP, PRSPが検出され治療へ抵抗した.

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