日本化学療法学会雑誌
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小児細菌性上気道感染症におけるindirect pathogenicityの細菌学的検討
出口 浩一豊永 義清鈴木 由美子石原 理加石井 由紀子中澤 ありさ石原 俊秀
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キーワード: β-ラクタマーゼ, BRO酵素
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1998 年 46 巻 4 号 p. 139-147

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抄録

小児細菌性上気道感染症患者の上咽頭ぬぐい液から検出した細菌の検出パターン, β-ラクタマーゼ産生性ならびに薬剤感受性を調べて, 直接的病原性菌 (direct pathogen) とβ-ラクタマーゼを産生する間接的病原性菌 (indirect pathogen) を推定し, これらの症例における第一次選択剤のあり方を考察した。
1. direct pathogenと推定した菌種は, Streptococcus pneumoniaeおよびHaemophilus influenzaeの割合が高く, S.pneumoniaeはPC-intermediate S.pneumoniae (PISP) +PC-resistant S.pneumoniae (PRSP) が29.5%, β-ラクタマーゼ産生H.influenzaeは13.8%であった。
2. indirect pathogenと推定した菌種は, β-ラクタマーゼ産生Moraxella subgenus Branhamella catarrhalisおよびStaphylococcus aureusが多く, これらの菌種はS.pneumoniaeまたはH.influenzaeと同時に検出される症例が多かった。
3. 検出菌パターンは, S.pneumoniae+M.(B.) catarrhalis, H.influenzae+M.(B.) catarrhalisが多く, 両者を合わせると全症例の32.6%を占めることから, 小児細菌性上気道感染症におけるindirect pathogenicityの主流はM.(B.) catarrhalisが産生するβ-ラクタマーゼと考えられた。
4. S.pneumoniaeおよびH.influenzaeの除菌率は, indirect pathogenが関与したと仮定した症例群においてclavulanic acid/amoxicillinの除菌率がamoxicillinに比較して有意差をもって勝っていた。

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