日本化学療法学会雑誌
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喀痰中β-ラクタマーゼ活性の測定方法の確立に関する検討
石井 良和馬 霊山口 惠三
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1999 年 47 巻 10 号 p. 619-622

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抄録

喀痰から直接β-ラクタマーゼを検出することを目的に, Pseudomonas aeruginosaが分離された喀痰を対象としたβ-ラクタマーゼ活性の測定方法を確立した。喀痰からの抽出操作は30分以内に終了した。P. aeruginosaが106cfu/ml存在する喀痰からの抽出液を100μMのニトロセフィン溶液に添加して5分間37℃ で経時的に吸光度を測定したところ, きわめて良好な直線関係を得ることができた。一方, 106cfu/mlのEnterococcus faecalisが存在する検体からはβ-ラクタマーゼ活性は認められなかった。次に検出された菌量が異なる複数の検体を用いて検出限界に関する検討を行った。その結果, P. aeruginosaが105cfh/ml以上の菌量が存在する検体からはβ-ラクタマーゼ活性が検出された。また, ペニシリナーゼを産生するEscherichia coliが107cfu/ml存在する喀痰のKm値は127μMと大きな値を示し, セファロスロリナーゼを産生するP. aeruginosaの値とは大きく異なった。以上の結果から, 今回検討した方法は迅速, 簡便かつ高感度で検体からβ-ラクタマーゼを検出することが可能な方法であった。

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