日本化学療法学会雑誌
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慢性気道感染症に対するgatifloxacinの臨床的検討
その喀痰中移行と細菌学的効果
渡辺 浩真崎 宏則渡辺 貴和雄大石 和徳永武 毅朝野 和典前崎 繁文平潟 洋一河野 茂
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1999 年 47 巻 10 号 p. 623-631

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抄録

新フルオロキノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX, AM-1155) の慢性気道感染症に対する有効性ならびに血清中濃度および喀痰中濃度について検討し, あわせて細菌学的効果, 安全性についても確認した。4例 (気管支拡張症3例, 陳旧性肺結核二次感染1例) の慢性気道感染症患者に本剤1回200mg, 1日2回食後経口投与し, 血清中および喀痰中の薬剤濃度を測定した。それぞれの症例における最高血清中濃度は0.72~3, 65μg/ml, また最高喀痰中濃度は3.81~7.11μg/mlに分布し, 喀痰中移行率は171~625%であった。4例における臨床効果は著効1例, 有効1例, やや有効1例, 無効1例であった。起炎菌は4例とも判明し, 3例がPseudomonas aeruginosa, 1例がHaemophilus influenzaeMoraxella catarrhalisの混合感染であったが, 細菌学的効果ではP. aeruginosaのうち1例は減少, 1例は不変, 1例は判定不能であり, H. influenzaeM. catarrhalisはいずれも陰性化した。なお, 副作用, 臨床検査値の異常変動は認められなかった。以上より本剤は慢性気道感染症において良好な喀痰中移行を示すことから, 優れた臨床効果を期待しうる薬剤と結論される。

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